映画「ワンネス」 『低予算映画を大作に変える撮影術』3

2013/07/21 7:27 AM

20130417115238DSC05912背景の遊具s 
 レールを設営しているところの写真ですが、昨日のとはシャッターを切った角度が違います。
 注目していただきたいのは俳優が座っているベンチの方向です。
 本来は右の垣根のような植え込みと平行でした。
 なぜベンチの角度を変えたのでしょうか?
 それは後ろにある小学生用の遊具(ゆうどうえんぼくとジャングルジム)です。
 ベンチが本来の位置にあり、レールを斜めに敷くと、遊具を背景として映り込んでしまうのです。
 このベンチのシーンは50秒です。
 50秒間にも渡り、背景にジャングルジムがあるとすれば、かなり気になるはずです。
 成蹊大学は小学校から大学までひとつの敷地にありますが、そういう学園は他にはほとんどありません。
 高校の敷地にジャングルジムって?…俳優を見るのではなくジャングルジムを見つめてしまいそうです(笑)。
 というわけでベンチの角度を変えました。
 でも弊害もありました。
 いままで見てきた背景との整合性が崩れるのです。
 しかし「なんか変だ?」と思っても決め手になるブツは見えません。
 何が言いたいかといえば、昨日と同様にここでも「8割の法則」が働いているのです。
 おそらくアニメは10割に近く上がると思いますが、実写映画はロケの場所が計画したものにならず、常に8割だと思います。
 そのとき不満に思うか、満足を感じるかは、まるで人生そのものだと思います。
 いえ、人生は8割どころかもっと下がると思います。
 あなたは何割だと不満を感じるようになるのでしょうか?


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コメント

  1. みっく より:

    今日のお写真は遊具が映っていて、昨日のお写真とずいぶん雰囲気が違います。背景の整合性よりも、遊具が映らないことを優先されてベンチの向きを変えられたと思います。その話から、何割だと満足なのか・・にとても考えさせられました。8割で不満を持ってたら、10割でも不満をもってしまうかもしれない・・と、今思いました。8割でオーケーというのは、その8割に関係したすべての人(自分も含めて)、物、周囲の環境・・などを受け入れていることに思いました。不満は否定だと思いました。否定してたら、その思い通りでなかった否定された部分から、悪いエネルギーがやってくるのかもしれないです。もりけんさんは、2割を肯定したから、その2割は良いエネルギーとなって、ご自身が思われる以上の撮影になったみたいに思います。

  2. まるこ より:

    私たちの人生と違って映画は脚本があって環境を設定できるのだから、ほぼ100%が計画どおりに撮れると、どこかで思い込んでいた自分に気が付きました。考えてみたらアニメと違って実写は私たちの人生と同じようにいろんな制約の中で撮られているのだから、100%はあり得ないのだと思いました。それをどう受け取るかというのが、とても大事なのだと思います。森田監督は計画どおりにならないことを笑顔で承諾されたのだと思います。ワンネスの撮影は森田監督の生き方そのものともすごく通じているのだと感じました。

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