撮影当日がきました。
この日、機材車の到着が一時間も遅れて、学校の使用期限の17時までに撮り終われない可能性がでました。
なのでスタッフからはレールを使った撮影はやめようという話が出ました。
普通なら監督はオールマイティですが、なにしろ未経験者です(笑)。
みんなの指示に従います。
しかし「それでもやろう」と言ったのは撮影技師でした。
レールの設営が開始されました。
その写真を出しましたが、私だけ笑っています。
そりゃあそうです。
楽しくてしかたありません(爆)。
でもレールは一本しかありません。
カメラも一個しかありません。
机上の論理のようにはいかないものです。
ところで私は事前に絵コンテを作り、スタッフ全員に配布してあります。
監督が撮りたい絵を全部書きました。
しかし実現したのは8割です。
一般的に「こだわる監督」の話はよく聞きますが、私はそうではありませんでした。
2割は採用されませんでしたが、笑顔で承諾しました。
今から思えば、その2割は私が考えた撮影法を超えていました。
これは生き方についても言えると思います。
自分のやりたいことを100%主張する必要はないと思います。
(続く)
レールを使った撮影方法をやるか、やらないかという決断にも、森田監督は外側の声に従われたのだと思いました。先日、周囲の信号をキャッチするというのがワンネスのテーマの一つだと書かれていました。この映画は撮影の段階からまさにそんなテーマに沿った撮影方法が採られていたのだと感じました。机上の論理ももちろん大事だと思います。でもより大事なのは撮影現場という生き物とどう接するかということだったのかもしれないと思いました。森田監督の現場での周囲との接し方が、想定を超えた2割を生み出したと言えるのかもしれないと思いました。私たちの人生も受け身と笑顔で処した方が、思っていたよりもうまく行くということなのかもしれないと思いました。